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【内閣府オープンイノベーションチャレンジ2021】【モビリティ分野】モピ株式会社× 和光市|STAEN注目のアクセラプログラム2021 No.2


近年、多様化・複雑化する社会課題を迅速に解決するため、国の省庁及び地方自治体において、行政サービスの向上や業務効率化に資する新技術・新サービスの導入に係るニーズが高まっています。

また、スタートアップ・中小企業においては、アイデアの実証や導入を省庁・自治体に提案する機会がなかなかありません。

こうした状況を踏まえ、社会課題解決や行政サービスを向上するための新技術・新サービスを持つスタートアップ・中小企業を積極的に発掘し、省庁・自治体と連携する機会を創出することを目的として実施されるのが、「内閣府オープンイノベーションチャレンジ2021※1」です。

本記事では当プログラムのモビリティ分野にて採用されたモピ株式会社に焦点を当て、「既存の公共交通機関が対応しきれない、道路が狭隘なエリアにおける交通ニーズを満たす手法」を求める和光市と株式会社モピの事業「マイクロ・ロボットタクシー 自動運転の低速EVを使用したモビリティサービス」の実証実験の様子を取り上げます。

※1内閣府オープンイノベーションチャレンジのプログラム詳細についてはこちらの記事を参照ください。

 

起業経緯(どのような社会課題を解決するか)

「自動運転を手段として社会課題を解決するためのモビリティをつくりたい」

米中の自動運転を牽引する企業は、自動運転技術の開発に数千億円を費やし、更に「レーザー光を照射し、物体に当たって跳ね返ってくるまでの時間から物体までの距離や方向を測定する」LiDARなどのセンサーを満載することで膨大なコンピューターパワーも消費しています。しかし、高精細3Dマップのない道を走ることはできていません。高コストな「自動運転」でありながらも、移動や物流の課題解決に対して明確な目的をもっていないことに課題感を持ちました。

共同創業者シャオシャン・リュウは、自動運転業界を牽引するバイドゥ(USA)で自動運転部門を立ち上げたメンバーの一人です。彼もまた自動運転分野の開発費用が高額のわりにどんな社会課題を解決するか明確でなく、自動運転が目的化していることを疑問視していました。そこでシャオシャンと出会った私は、日本の「地方のモビリティ」の現状を調査して回り、2019年の8月にシャオシャンと共同でPerceptIn Japan(モピの前身)を設立しました。

サービスについて

「日本の「過疎化」に注目した交通弱者・人手不足のための自動運転」

当社がご提供するソリューション「Mopi」は、遠隔監視・操作による自動運転(レベル3相当*)の低速EVによるモビリティサービスです。

日本の過疎化の解消を目的としている点で、前述の米中モビリティ企業とは一線を画します。人件費の削減だけでなく、人手不足の部分も自動運転を通じて解決できればと考えています。

具体的なサービス内容としては、オンデマンドで出発地点に迎えにきて、目的地までの最適なルートでお送りします。一人の遠隔オペレータが複数の車両の運行を監視し、乗降時には監視映像と会話でお客様をサポートします。

また、中山間部の自治体が数千万円規模(一般的な自動運転は5~6,000万円)の車を数台購入し、運用することは現実的ではありません。現在の車とほぼ変わらない値段で提供できることが当社のポイントです。各地域のニーズに応じて2人~8人乗りの車両を、モビリティサービスの運行システムと共にご提供を目指しています。

*自動運転のレベル分けと詳細については国土交通省の資料をご参照ください。

オープンイノベーションチャレンジの実証実験の取りくみと目標

本プログラム参加に当たり魅力に感じた点を教えてください。

「都市部でのニーズ確認と活発に議論できる環境が参加の決め手」

今回、和光市様が設定された課題のターゲットである「交通機関のアクセスが行き届かないエリアに在住の高齢者」は、当社における「中山間部や離島にお住いの高齢者」ターゲットと同じ問題を抱えています。弊社のソリューションは都市部においても求められているということを認識することができ、参加したいと思いました。

また取り組むうえで、モビリティ問題を解決するために地域住民との議論の場が整備、活発に行われていることが必要だと考えていました。和光市は上記の環境が整っていたので、チャレンジすることを決めました。

 

本プログラムで行う実証実験の概要を教えてください。

「まずは地域のニーズにフィットさせる仮想設計から」

私たちは実証実験ではなく、「仮想設計」(和光市の持つ既存情報に加えてその情報を補完できるようなヒアリングを経て仮説を設定すること)に取り組んでいます。自動運転の実証実験の多くは、その技術の検証を目的としています。しかし、自動運転は手段に過ぎず、地域が抱える移動についての問題を解決するためにはモビリティを地域のニーズにフィットさせるプロセスが必要だと考えています。

そこで、本プログラムでは、ニーズとシーズを調和させるプロセスの設計を行っています。具体的には、和光市様がお持ちの市内交通の現状や課題などの情報をもとに、自動運転によるモビリティサービスの社会実装のイメージを作り、想定ユーザーからのヒアリングやアンケートから、利用してもらうための課題を明確にします。そして、その課題を解決するプロセスを設計します。

 

本プログラムを通じて達成したい目標を教えてください。

「社会実装のイメージ作成と検証プロセスの設計へ」

1.社会実装のイメージを作る(仮想設計)
和光市南1丁目の想定ユーザー(高齢者)数、乗降スポット、目的地などを仮設定し、そこから想定トリップ(移動単位)数と必要な車両数を算出する。

2.検証プロセスを設計する
・検証項目の明確化
・実際の車両を使用した実証実験の計画立案(短期の実証実験や手動運転による実用運行を想定)
・費用見積もり

和光市―実証実験を通してー

「公共交通白地への課題解決に向け、今後は実装に向けた協業を」

エントリーした背景に、市の特徴である高低差や狭隘な道路における交通課題があります。コミュニティバスは走っていますが、そのバスが届かないエリア(公共交通空白地)での移動手段の確保を課題としていた中で、モピさんと検討するに至りました。また、それと同時に社会的背景として高齢化があり、今後より交通弱者が増えていくと同時に運転手の不足も想定されます。そこで、公共交通空白地問題の解決の一環で、モピ事業が当市に適しているかを検証し、実装化できればと考えています。

現状仮想設計(和光市の持つ既存情報に加えてその情報を補完できるようなヒアリングを経て仮説を設定すること)に向けた検討に留まっているので、今後より具体的な話を進めていきたいと考えています。

 

株式会社モピ

【代 表 者 】  川手 恭輔

【所 在 地 】  東京都千代田区九段南一丁目5番6号 りそな九段ビル5階

【 Vision  】  人々の移動を支援して地域の存続を可能にする

【事業概要 】   自動運転の低速EVを使用したモビリティサービスのための超・低コストなソリューション「Mopi」

【  URL  】  https://www.mopi.jp/