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スタートアップを応援する熱い自治体【福岡県北九州市】|STAEN #注目の自治体(2)


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Kotaro Morimoto

慶應義塾大学法学部在学中。学生のための政策立案コンテストを主催する学生団体GEILでの活動、国立台湾大学への留学を経て、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社のLEAPOVERチームでインターン中。スタートアップ関連の取り組みや制度について学んでいる。

これまで毎週水曜日に配信されてきた「SCI-Jウェビナー~スタートアップシリーズ~」のうち、第4水曜日を「Monthly Pitch“7minutes”~五方よしスタートアップが持続可能な日本をつくる!~」としてリニューアルしました。Monthly Pitch”7minutes”では、スタートアップを応援する熱い自治体職員の皆様に「STA-Mem47」として各回ご登壇頂きます。
今回は北九州市の石橋孝通さんにインタビューを行いました。

「スタートアップ・エコシステム推進拠点都市※」北九州市

―まず北九州市にについて特徴を教えてください。

北九州市は九州地方では福岡市に次ぐ第2位の人口規模で、福岡県北部に位置する政令指定都市です。九州の玄関口として栄えた歴史を持ち、北九州工業地帯の中核を担っています。

本市は、官営八幡製鉄所が設置された1901年以降、製鉄関連や自動車関連の企業が多数集積してきたことから、ものづくり産業を中心に発展してきた経緯があるため、それらを関連の深いロボット産業やDX(デジタルトランスフォーメーション)産業に強みを持っています。

また、高度成長期に社会問題となった環境汚染への反省から、現在は環境への配慮に繋がる産業の育成にも注力しています。このような歴史的経緯から、「ロボット」「DX」「環境」の3つの産業を核とし、テック系エコシステム拠点都市を形成することを将来像として様々な取組を進めております。

例えば、2020年度には「日本一起業家に優しいまち」を目指してスタートアップ支援(創業支援)に取組むとともに、中小企業等の海外ビジネス支援、対日投資などの取り組みをワンストップで行うスタートアップ推進課を設置しました。同年7月には、内閣府より「スタートアップ・エコシステム推進拠点都市」の選定を受けています。

※北九州市のほか、札幌・仙台・広島の3都市が指定されている。

市の強みを活かしたプログラム「IoT makers project」「GAP-K

―八幡製鉄所と市の強みとの関連性についてよくわかりました。テック系エコシステム拠点都市の形成に向けてスタートアップ支援施策としてはどのような取組みが行われているのでしょうか?

本市のスタートアップ支援を代表する取組みとして、IoT makers projectがあります。当プログラムは、IoTに関連する成長性のあるビジネスを採択し、大手企業とのオープンイノベーションのほか、著名なメンター陣や高専等と連携したアクセラレーション・プログラム、試作品製作支援を行うことを目的に、2017年から実施しています。参加いただくスタートアップ企業の方からは、共創を行う大手企業と一緒になって話しながら事業を進めていくことができるとご好評を頂いています。

また、2020年度からは事業規模の拡大が見込まれるスタートアップ企業に対し、専門家による強力な伴走、投融資や協業などの支援を行う民間主体の実行委員会「GAP-K(グローバルアクセラレーションプログラム実行委員会)」を設置し、2020年度は4社を支援しました。 GAP-Kの強みは、「民間主体の組織」であることから、組織を運営する北九州市の有力企業とダイレクトに関係性を築いていくことができるため、自治体だけでの支援と比較して、スタートアップ企業に対してより実効性のある支援をすることができる点です。

―GAP-KのHP上に公開されている支援企業のピッチ動画では、安川電機の会長に対してその場で協業の提案をして許可を受けるという距離感・スピード感のあるやり取りを拝見しました。そのような関係性がまさに「実効性のある支援」に結びついているのですね。

IoT makers project :https://www.kitakyushu-iot.com/

グローバルアクセラレーションプログラム実行委員会:https://gap-k.com/

IoT makers projectサイト抜粋

スタートアップ企業の力で「人口」「地域経済」「まちづくり」の好循環を生み出す

―北九州市を代表する2つの取り組みについてご紹介いただきました。スタートアップ支援に精力的に取り組まれている印象を強く受けましたが、どのような背景があったのでしょうか。

本市の課題の一つに「若い世代の市外への転出」があげられます。そのため、本市の第2期北九州市まち・ひと・しごと創生総合戦略では「女性と若者の定着により社会動態をプラスに」という基本方針を掲げ、人口・地域経済・まちづくりの課題に一体的・重点的に取り組み、好循環を生み出す社会を目指して、「しごとの創出」、「新しい人の流れ」、「女性活躍、若い世代の結婚・出産・子育て」、「住みよいまちづくり」の取組みをすすめています。

その中で、本市がスタートアップ支援に力を入れるのは、人口、地域経済、まちづくりの好循環を生み出すうえで、市内で活躍するスタートアップ企業の力が必要であると考えているからです。スタートアップ企業と既存企業の連携により、既存企業がより魅力ある企業に変化していくことにより、市内で生まれ育った若者が、北九州市で働き続きけてくれることを目指しています。

また、市内で活躍するスタートアップ企業を増やすためには、市外からの誘致も重要ですが、市内の若者が本市で起業し、スタートアップ企業として大きく成長することも大事です。そのため、市内の高校生や大学生など、次代を担う若者を対象とした起業家支援のプログラムの実施に取組んでいます。北九州市には既に複数のコワーキングスペースがあり、今年の2月には九州最大級のコワーキングスペース「ATOMica」が市内に進出するなど、スタートアップ企業が北九州市で活動しやすい環境が整っています。今後はこれらの施設を活用し、ものづくりを得意とする北九州工業大学や北九州高専の学生向けに起業家支援のイベントやプログラムなどを考えていきたいと考えています。

スタートアップに関わる「アクター」を繋ぐ

―最後に、石橋さんのお仕事に対する思いをお聞かせいただけますか。

自治体は、スタートアップ企業、起業家、学生、企業といった多様な「アクター」をつなげる場を作り提供することが役割であり、主役はアクターの皆様と考えています。私自身も、アクターの皆様がより活躍できる舞台を整えるために頑張っていきたいと考えています。

―多様なアクターを繋ぐ黒子として尽力されている石橋さんの青い炎が伝わるインタビューとなりました。本日はありがとうございました。

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編集後記

STA-Mem47 にもいち早く参画してくださった石橋さん。インタビューを通じて、北九州市をスタートアップ企業への支援によって活力ある街にするという気概を強く感じました。また、北九州市としての目標が自分の将来的な目標でもあると仰っていたことが非常に印象的で、自分事としてスタートアップ支援に全力を注ぎ新しい取り組みにチャレンジする様子が非常に魅力的でした。IoT makers projectを代表に、北九州市がエッジのきいたイベントを主催し、新しいイベントを創出し続けている根源を知ることができました。