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【内閣府オープンイノベーションチャレンジ2021】|STAEN注目のアクセラプログラム2021


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この記事を書いた人

Kotaro Morimoto

慶應義塾大学法学部在学中。学生のための政策立案コンテストを主催する学生団体GEILでの活動、国立台湾大学への留学を経て、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社のLEAPOVERチームでインターン中。スタートアップ関連の取り組みや制度について学んでいる。

近年、多様化・複雑化する社会課題を迅速に解決するため、国の省庁及び地方自治体において、行政サービスの向上や業務効率化に資する新技術・新サービスの導入に係るニーズが高まっている。そのため、新技術・新サービスの創出の一翼を担う研究開発型のスタートアップ・中小企業の斬新なアイデアに期待が寄せられており、スタートアップ・中小企業と行政との連携の必要性が高まっている。

また、スタートアップ・中小企業においては、新技術・新サービスを通じた社会課題解決に向けたアイデアを有しているものの、人材・資金等の経営資源や実績等の不足から、そのアイデアの実証や導入を省庁・自治体に提案する機会がなかなかないのが現状だ。

こうした状況を踏まえ、社会課題解決や行政サービスを向上するための新技術・新サービスを持つスタートアップ・中小企業を積極的に発掘し、省庁・自治体と連携する機会を創出することを目的として実施されるのが、「内閣府オープンイノベーションチャレンジ2021」だ。

以下、STAEN MAGAZINE注目のアクセラプログラムとして、この内閣府オープンイノベーションチャレンジ2021(以下、本プログラム)を紹介したい。

【エントリー期間:2021年8月6日(金)~8月31日(火)】(本年度受付終了)
https://open-innovation-challenge.go.jp/
※「02募集概要」ページを参照。所定の応募書類を事務局宛にEメールにて提出

 

開催概要:スタートアップと省庁・自治体が連携し社会課題解決を目指すプログラム

本プログラムの流れを概観するとこうだ。まず、各省庁・自治体等が持つ「課題」と、スタートアップ等の「解決案」がマッチングされ、「プロジェクト化」される。次に、このプロジェクトに対し、外部有識者等による事業の磨き上げ、課題設定機関との面談等が行われ、「レベルアップ」が図られる。そして、DEMO DAYによって、事業の実証や試験導入、各省庁及び地方自治体における調達へとつながるきっかけが創出される。

 

本プログラムの特徴の1つは、募集テーマに、各省庁・地方自治体が有する「生の現場ニーズ」が反映されていることだ。スタートアップにとって、机上ではなくリアルな社会課題に向けて自社ビジネスをブラッシュアップしていけることには、大きな価値があるだろう。

2021年度の募集テーマは、上述の「実際の現場で課題となっているニーズであるか」という点に加え、「将来的に調達や導入が検討できるニーズであるか」、「他自治体への広がりも期待できるようなニーズであるか」といった点も加味され、10カテゴリー、18テーマが設定されている。

本プログラムへの参加メリット

スタートアップのメリット

保有する技術や新しいサービスを大規模に検証できる

各市町村のみならず、愛知県や京都府などの都道府県、さらには国交省や警察庁といった中央省庁との連携が可能である点は、他のアクセラプログラムとは一線を画す。例えば、愛知県が課題として設定している防災テーマでは、県民758万人を対象に防災関連情報発信等が可能なアプリの提供を求めている。県単位、国単位でのサンプルやフィードバックが獲得できる可能性がある点は、早期スケールを目指すスタートアップにとって魅力的である。

省庁・自治体に対し自社技術・サービスをアピールできる

プログラムへの応募から認定企業の決定までに、課題設定機関との密なコミュニケーションの機会が用意されており、十分なすり合わせができることから、認定後においては、実際の実証実験ないし実装につながることが期待できる。

また、DEMO DAYを通じて、課題設定機関以外の各省庁・自治体へサービスを横展開することも可能だ。実際、オープンイノベーションチャレンジ2019認定企業である株式会社レトリバは、課題設定機関であった名古屋市だけでなく、デジタル庁準備室、神戸市Urban Innovation KOBE KOBE+Pといった機関との連携も実現している。

省庁や自治体と連携することで認知度を高めることができる

政府機関である内閣府が主催するプログラムへ採択されたこと、あるいは省庁・自治体と連携したという事実は、広報面でインパクトを持つ。また、当プログラムのメディアパートナー(後述)の広報協力により、プログラム中の取組みが自治体などに定期的に発信されることも、自社の認知度向上の点でプラスとなるだろう。

省庁・自治体のメリット

  1. 新技術・新サービスのいち早い導入、課題に対する新しいアプローチを発見する機会
  2. 課題解決に一緒に取り組むパートナーを得る機会
  3. 国やスタートアップと連携して課題解決に取り組む広報機会

 

プログラムを支える強力な外部有識者・メディアパートナー

アドバイザー(敬称略)

  • 斎藤 祐馬(デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社 代表取締役社長)
  • 馬田 隆明(東京大学産学協創推進本部スタートアップ推進部ディレクター)

審査員(敬称略)

  • 徳重 剛(株式会社野村総合研究所 アーバンイノベーションコンサルティング部グループマネージャー)
  • 東 博暢(株式会社日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 プリンシパル)
  • 奥田 浩美(株式会社ウィズグループ 代表取締役)
  • 杉原 美智子(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 ソーシャルインパクト・パートナーシップ事業部 LEAP OVER 事業統括)

メディアパートナー

  • Forbes JAPAN
  • eiicon
  • for Startups
  • Publingual
  • STAEN MAGAZINE

※各詳細 https://open-innovation-challenge.go.jp/advisor/

 

過去開催回の好事例:株式会社レトリバ「YOSHINA」(2019年度認定企業)

株式会社レトリバは、オープンイノベーションチャレンジ2019において、名古屋市が募集した「住民等から寄せられた声を効率的に分析して改善提案をする手法」というテーマに対し採択されたスタートアップだ。本プログラムでは、自然言語処理技術を用いて問い合わせ内容を分析し、“気づき”を示唆するAI「YOSHINA」の実証実験を、名古屋市役所のコールセンターで実施。よくある問い合わせ内容を分析することで、「住民が具体的に何に困っているのか」について認識することに成功した。

最近では、河野太郎行政改革担当大臣が開設した「目安箱」にも導入され、従来手作業で行っていた国民の意見の分析作業を、「YOSHINA」を使ってより効率的・高品質に行うことに成功した。上記の取り組みは日経産業新聞や日刊工業新聞にも取り上げられ、当社の認知度向上の観点からも大きな成果が上がった。

※株式会社レトリバHP  https://retrieva.jp/

 

以上の通り、官公庁・地方自治体との連携を狙うスタートアップにとっては魅力的なプログラム内容となっている。加えて、本プログラムの主催者である内閣府は、スタートアップ・エコシステム拠点都市を選定するなど、従来からスタートアップとの連携による社会課題の解決に注力してきたが、本プログラムについても、非常に高い熱量をもって準備を進めてきたとのことだ。興味のあるスタートアップはエントリーを検討してみてはどうだろうか。

【エントリー期間:2021年8月6日(金)~8月31日(火)】(本年度受付終了)
https://open-innovation-challenge.go.jp/
※「02募集概要」ページを参照。所定の応募書類を事務局宛にEメールにて提出