スタートアップ

STAEN magazineスタートアップシリーズ#4【株式会社マモル】ITの力で子どものいじめを予防・対策


株式会社マモル

【代 表 者】代表取締役社長 隈有子

【所 在 地】東京都新宿区西新宿1-1-6

【 Vision 】すべてのこどもたちに、笑顔を。

【事業概要】マモレポ事業・デジタルトランスフォーメーション事業/教育コンテンツ開発事業・オンライン相談事業

IT企業在籍時にいじめ領域での起業を決意

以前からいじめ問題に関心はあったが、それを仕事にする方法がわからず、大学卒業後は、IT業界に進んだ。IT企業在籍時に、中高生向けのサービスや働く母親向けのWEBサイトの運営をする中で、いじめに関する相談を受ける機会が多数あった。また、自分自身が子どもを持つ親になり、社会問題としてのいじめを強く意識するようになった。そこで自らのIT技術を使い、子どものいじめを減らすようなシステムを作れるのではないかと考えた。アメリカでは子どものいじめ問題にアプローチしたサービスがすでにいくつも存在していたが日本にはなかった。そのため早急にそのようないじめの予防サービスを構築することが不可欠であると隈氏は考えた。

減らない「いじめの問題」

子供のいじめは深刻だ。社会のリテラシーが高まっても、子どものいじめは減らない。むしろこの10年間でいじめの件数は8.4倍増加し、全国で年間約61万件(2019年)発生している。また、小学生・中学生・高校生の自殺数合計も年間317 名(2019年)と決して無視できない数字である。現在のいじめ対策の多くは事後的なもので、「予防」という観点から作られたシステムはほとんど存在しない。その点に疑問と課題を感じた隈氏は予防に特化したシステムを開発し始めた。

いじめの予防に対応したサービス「マモレポ」

こうして開発されたシステムがいじめ通報プラットフォーム「マモレポ」である。マモレポの特徴は、学校で今配布されている1人1台端末の中に導入されていることとインターネット上のプラットフォームであることと子どもが使いやすいUI/UXに工夫されていることだ。従来のいじめ認知は、学校でのアンケート調査や電話での通報によるものが多いが、学校で行われるアンケート調査は周囲のクラスメートに見られるリスクが高く、紙に記入することから筆跡で個人が特定されるリスクもある。これらの事情から本当のことを書きづらい環境にあることが問題として挙げられていた。また、電話によるいじめの通報は、通報者が匿名性を確保しやすい公衆電話によるものが多かったが、年々公衆電話の数が減少し、通報場所そのものを見つけづらくなってきている。

これらの問題をマモレポは解消した。現代において、子どもがいじめ問題に対し何らかのアクションを起こすために用いる方法の多くがインターネットであるという調査結果から、紙や電話ではなくインターネットを通した通報を可能とするプラットフォームを構築した。

次に、子どもに配慮したUI/UXに徹底的にこだわった。文字に書いて相談を送るわけではなく、イラストを沢山使っている。聞かれた選択肢に答えるだけで、何が起こっているか最低限の内容が届くようになっている。子どもたちは自分の身の回りに起きたことを言葉で伝えることはとてもむずかしい。イラストを使っているので、近年増え続けている外国籍の子ども達も使うことができる。他にも、自身の立場を入力する画面では、「当事者・聞いた・見た・参加者」の4パターンを用意。自分が標的にされることを恐れ、いじめ側に回らざるを得なかった「参加者」を選択肢に加えることで、葛藤に苦しむ子どもの保護も図る。これらの問いはすべて読み取りやすいイラスト付きで表示され、子どもにとってより選びやすいプラットフォーム作りを意識している。

株式会社マモル提供

学校ごとのデータ集積でいじめの傾向を把握・蓄積

マモレポサービスの第一の顧客は学校だ。マモレポサービスを契約した学校に所属する生徒はマモレポを利用することができる。また学校職員や教育委員会も契約先の学校で集積されたデータを見ることができ、学校全体としていじめを把握することができるため、職員一人でいじめの問題を抱え込むという、日本のいじめ問題で頻発する課題の解消も図ることができる。他にも、集積されたデータからその学校独自のいじめの特徴を分析し、より実効的な予防法を立案することも可能となる。わかりやすい例として、進学校では進級試験が年末にあることから、生徒のストレスが高まりやすい11月頃にいじめが起こりやすくなる傾向があるという。このように、学校によっていじめの起こる状況や時期は大きく異なり、学校毎にデータを集積することが重要である。

今後の取り組み

日本のいじめは特殊であり、周囲の目に留まりやすい身体的ないじめよりも、同調圧力や集団無視といった顕在化しにくい精神的ないじめが多い。同時に、いじめかどうかの境界線が曖昧という問題もある。このような日本特有のいじめにできるだけ対応するためのサービス改良が進められている。今までアナログで対応していたものを見える化することで解決できることがあるのではないかと、現在は学校に導入をし、導入されていない学校の先生達とも意見交換を改良を重ねている。子ども、保護者、教育委員会・PTAなどの様々なレイヤーの重なり合いによる体制の構築や、子どもたちの個性が発揮できるようなメディアをつくったり、色々な企業とコラボしたりして、関わる人を増やしていきたいと考えている。

株式会社マモル提供

 

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