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位置情報ベースセーフコミュニティを提供【RadarLab株式会社】 |STAEN #注目のアクセラプログラム2021


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Kotaro Morimoto

慶應義塾大学法学部在学中。学生のための政策立案コンテストを主催する学生団体GEILでの活動、国立台湾大学への留学を経て、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社のLEAPOVERチームでインターン中。スタートアップ関連の取り組みや制度について学んでいる。

今回紹介するスタートアップは、RadarLab株式会社。

RadarLab株式会社は、第4期LEAP OVER*の採択企業・最優秀賞受賞企業です。LEAP OVERを通じて複数の自治体での実証実験を行い、自治体から高い評価を受けました。現在は社会課題解決型スタートアップとして注目のスタートアップに成長しています。

本記事では、起業経緯やサービス紹介、LEAP OVERを通じたパートナー企業・自治体との協業による成果についてまとめました。

*三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が主催するPoC型アクセラレータプログラム。

 

社会課題の解決エンジンを目指して起業を決意

RadarLab社はCEOの禹(ウ) ナリ氏をはじめ、ボードメンバーの3名がYahoo!JAPAN社運営の質問プラットフォーム、ヤフー知恵袋の立ち上げ期から最もグロース成長した時期を共にした元開発・企画メンバーで構成されている。メンバーはYahoo!JAPAN在籍時の社長、宮坂学氏(現東京都副知事)の「課題解決エンジンになりたい」という言葉に感銘を受けた仲間でもある。ヤフー知恵袋のサービスの開発運用の経験から、ユーザー同士での課題解決を、サービスを通じてエンパワー出来る素晴らしさを知り、サービスを通じた課題解決にチャレンジし続けたいという志を持つ。その後メンバーはヤフー内でデータサイエンスやアプリ開発、新規UGC(一般ユーザーによって制作・生成されたコンテンツ)サービスの立ち上げなどそれぞれのプロフェッショナル領域を経験し、これらの経験を自らの会社で社会に実装していくためのサービスづくりをしていきたいと、起業を決意した。

当社が目指すのは、「注目されづらい問題を顕在化し、助け合う社会を当たり前にすること」だ。人が問題と感じながらも共有するまでもないと通りすぎてしまうこと、本当は声をかけたいけれど勇気が出ないそれぞれのシグナルを、表現しやすい地図に印を残すような感覚で、参加しやすいサービスとして実現したのが” Radar‘z”である。


CEOの禹(ウ) ナリ氏。RadarLab社提供

位置情報ベースセーフコミュニティ「Radar‘z」

RadarLab社の主力サービス「Radar‘z」の利用方法はシンプルだ。ユーザーがアプリをスマホ等にダウンロードすると、アプリ上には位置情報に合わせてその周辺の危険情報(不審人物やインフラ上の不安や問題など)が表示される。ユーザーはその情報を確認し危険の回避ができる。これらの危険情報はその地域のサービス利用者が登録することによってリアルタイムに更新されている。例えば、危険情報の一つに「痴漢」がある。当サービスはその前身が痴漢の情報共有に特化したサービスであることからも、痴漢に関する情報共有にも的確に対応している。つまり、自らが被害にあった場合に加え、加害者(または被害者)を見た場合にも登録を行うことができることで、声を上げにくい痴漢被害に関する情報共有を促す。このような相互報告、相互扶助の仕組みをアプリを通じて提供することで、地域の安全性を高めていくコミュニティが形成されていくという仕組みだ。


「Radar‘z」はスマートフォンでアプリをダウンロードして使用する。RadarLab社提供

Radar‘zの最大の特徴は「位置情報」がベースとなっていることだ。地域コミュニティにおいては従来、アナログのご近所SNSや掲示板などによりコミュニケーションがとられていたが、これらのツールでなされる報告や連絡は正確な位置を伝える機能やリアルタイム性に乏しかったため、地域内で問題が起きても大体の位置情報を文面で伝えるか、直接自治体に電話するほか方法がなかった。しかしこうした手段を取ったとしても「正確な情報」が「届けるべき人」に届かないことも珍しくなかった。例えば、道路のひび割れをみつけても近くに目印がない場合は口頭での場所の説明が難しい。また、こうした情報が怪我のしやすい高齢者に伝わるには、時間がかかるどころか届かないこともしばしばあった。上記の問題を解決し、より正確な位置情報をより広範な地域の住民により早く伝えることができるサービスがRadar’zである。位置情報をベースにシンプルに共有できるサービスであることから、迷子や徘徊、いざという時の災害時にもメッシュの細かい情報を住民同士で可視化し解決に役立てることが可能だと考える。このようなサービスは、多くのユーザーによって利用されることにより真価を発揮する。

Radar’zの利用シーン。エリアに応じて報告件数が可視化されており、危険がわかりやすい。RadarLab社提供

ビッグデータビジネスを主軸に置いたサービス

RadarLab社のビジネスは、自治体や警察などの公的機関や危険に関連する事業体(例えば保険会社やセキュリティ会社)がターゲットだ。これらの機関に位置情報ベースで収集したビックデータを提供することで将来的なマネタイズを想定している。以下では、地方自治体との実証実験の成果を紹介する。

RadarLab社は自治体との将来的な連携を期待し、第4期LEAPOVERに応募。プログラムの協力自治体である北九州市や滝沢市と実証実験を行った。北九州市はRadar‘zの実証期間中に、市の所有物の損壊がRadar’z経由で1件報告、確認されたことにより、早急に対応することができた。実際、「万一対応が行われず市民がケガをした場合、その損害補填を市が責任を負わなければならないことからも効果の高いプラットフォーム・データの提供が行われていると証明できた」と北九州市の担当者からも実証実験の結果を評価する声が聞かれた。今後、多くの自治体でこのような成功例を積み上げ、自治体の予算化ハードルを下げることで、自治体へのデータ活用からの収益化が進むと予想される。

第4期MURCアクセラレータプログラムLEAP OVER 最優秀賞起業Pitch
『位置情報ベースセーフコミュニティ Radar‘z』より抜粋

また、危険情報のビッグデータ分析による分析結果が価値を生むことが想定される。特に、危険に関連する事業体、例えば保険会社に関しては、地域におけるマクロな危険を把握していても口コミベースのミクロな危険情報までは把握しておらず、その情報に価値が発生することが想定できる。また、危険が起こるタイミングや発生誘因に関する情報は、セキュリティ会社の効率的な業務遂行にとって需要がありそうだ。上記のような民間企業に留まらず、警察や学校など市民や生徒の安全を確保することが必要とされる機関にとっても、Radar‘zのサービスそのものやそこから生み出される情報の持つ価値は大きい。

将来の展望~安全で快適な街を増やすための取り組み

上述の通り、将来的には自治体向けのマネタイズを検討しているものの、現在はその前段階として、ユーザーや利用自治体の数を増やしていくために、各自治体との連携・実証実験を進め進めると同時に、サービスの質の向上にも余念がない。例えば実証実験を通じて得られた問題をレポートする以前には、多くの見守り活動をしていることに着目し、「地域のガーディアン」としての活動を可視化する機能の開発に着手している。デジタル上に表現された見守り活動は「地域住民に安心を生み出す」とともに、地域の目が抑止力になると言われていることを「データとして示し、安全性を担保する」ことで、地域の魅力としてアピールすることにもつながる。「地域のガーディアン」は、パトランやグリーン活動、クリーン活動など地域の見守りに関わる人々を中心に巻き込みながら、住民の日常的な行動の中に根付くよう、簡易な操作で参加を促していくことで、地域コミュニティの参加や、町おこしにも繋がる。

日本で一定の成果を出した先には、グローバル展開を検討しており、日本以上にインフラが貧弱なインド・アフリカ・東南アジア・そして禹ナリ氏の故郷でもある韓国にも展開することを検討している。

RadarLab株式会社

【 代 表 者 】 代表取締役 禹 ナリ(Nari Woo)

【 所 在 地 】 東京都中央区銀座7-13-6 サガミビル2F

【  Vision   】 みんなが作る誰もが生きやすい社会

【事業概要】 位置情報ベースセーフコミュニティ「Radar‘z」の運営

【 URL 】 https://www.radar-lab.com/

 

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LEAP OVERとは?

今回紹介した「Scheeme株式会社」は、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が主催するアクセラレータープログラム「LEAP OVER」の第4期アルムナイです。

LEAP OVERは、

・スタートアップ企業
・パートナー企業(大企業・地域中核企業)
・協力自治体

の3者をつなぎ、社会課題をビジネスで解決するPoC型アクセラレータプログラムです。

詳細は、下記URLからご確認ください。
https://www.digitalsociety.murc.jp/leapover/accelerator/5.murc (第5期募集終了)

お問い合わせはこちら
leapover-accelerator@murc.jp