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資金調達・資金繰りプラットフォーム【Scheeme株式会社】|STAEN #注目のスタートアップ2021


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Kotaro Morimoto

慶應義塾大学法学部在学中。学生のための政策立案コンテストを主催する学生団体GEILでの活動、国立台湾大学への留学を経て、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社のLEAPOVERチームでインターン中。スタートアップ関連の取り組みや制度について学んでいる。

今回紹介するスタートアップは、Scheeme株式会社。

Scheeme株式会社は、第4期LEAP OVER*の採択企業であり、プログラムを経て1.5億円の資金調達を実現しています。最近では、日経ビジネスでScheeme社のビジネスモデルが紹介されるなど、注目のスタートアップに成長しました。

本記事では、起業経緯やサービス紹介、LEAP OVERを通じたパートナー企業・自治体との協業による成果についてまとめました。

*三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社主催のPoC型アクセラレータープログラム。

 

会計事務所で感じた開業時の課題解決に向け起業を決意

財務改善クラウド「Scheeme(スキーム)」は杉守氏の原体験が基となって開発されたサービスだ。会計事務所で働いていた杉守氏は、年間160件以上の事業計画策定と融資支援を経験してきた中で「起業準備中の人々が事業計画の作成や金融機関からの融資に対して強い苦手意識を持っている」という共通課題を見つけた。例えば、融資に関する書類作成方法への不安、事業計画通りに事業が進まないことによる資金繰りの不安がその代表だ。実際、日本政策金融公庫の調査*によると、開業時に苦労したことの最上位に「資金繰り・資金調達」(55%)が挙げられているほか、開業後においても「資金繰り」や「融資支援の充実」に対するニーズは大きいことがわかっている。創業から5年以内に85%の事業者が撤退する**というデータがあるが、こうした悩みが大きく影響していると杉守氏はみている。これらの課題解決を図るべく杉守氏が開発したのが、資金調達から資金繰りまでワンストップで完結するクラウドサービスScheemeである。

*日本政策金融公庫:2020年度新規開業実態調査
https://www.jfc.go.jp/n/findings/eb_findings.html

**Scheeme社発表資料による。

資金調達から資金繰り管理までシームレスに解決する「Scheeme」

Scheemeは、創業前から中小事業者(企業)のニーズに沿ったカスタマイズや簡単でスピーディーな申請手続きが可能な財務支援クラウドサービスであり、次の3つの特徴を有する。

1.サービスの核となる「事業計画の一元管理

事業者が、顧客単価や販売数といった項目をフォーマットに沿って入力するだけで、様々な他の項目が自動計算され、いとも簡単に収支計画書が最大10年分作成できる。財務に明るくない事業者にとってはありがたい機能だ。また、収支計画書だけでなく、融資や補助金の申請によく使われる資金繰り表も自動作成される。さらに、資金繰り表には銀行口座を連携させることができるため、日々の資金移動に応じて資金繰り表が自動でアップデートされていく。

2.計画策定だけでなく「実行フェーズをサポートする」予実管理機能

事業者には、計画の進捗確認のリマインドが定期的に送られてくるため、策定した予算と実績の比較が簡単に行える。更にScheemeと会計ソフトfreeeが連携しているため、日次で会計データをScheemeに自動反映させることも可能になっている。

3.資金調達の申込が簡単に

Scheemeには「融資/補助金データベース」と「融資/補助金フォーマット」があり、融資や補助金の希望条件をプルダウンで選ぶと、「融資/補助金データベース」の中から申し込み可能な金融機関の融資制度や国・地方自治体の補助金制度が呼び出され、一覧表示される。また、申請時は、作成済の事業計画を「融資/補助金フォーマット」にワンクリックで反映させることができ、融資や・補助金の申請の手間を大幅に削減することができる。

Scheeme社はこれらのサービスを、税理士・コンサルへの依頼費用(1期目の顧問料15万円と想定した場合)と比較して半分程度の料金で提供している。資金が潤沢ではない事業者にとって利用ハードルが低く設計されており、資金繰りの苦労を目の当たりにしてきた杉守氏だからこそ実現できたサービスと言えそうだ。

三谷産業グループとのPoCを通じて金融機関の業務効率化をトータルサポート

Scheeme社は、LEAP OVERの第4期採択企業として、これまで事業者向けにサービスの提供をしていたScheemeを金融機関向けのサービスとしても展開するための第一歩として金融機関に対して事業者情報を共有する実証実験を行った。具体的には、地方金融機関を中心に利用が進むディサークル株式会社(三谷産業グループ)のクラウドサービス「POWER EGG」と共同でAPI開発***およびデモ実装を行った。

POWER EGGは金融機関における稟議の電子化、営業店と本部の報告集計業務の効率化などをサポートするサービスだ。生産性向上を追求する金融機関からPOWER EGGの更なる機能拡張が求められていたところだった。

実証の結果、融資希望者の情報や既存融資先企業の資金繰り状況のモニタリングをPOWER EGGで可能にする機能の開発に成功。従来対応できていなかった業務のフロント領域(中小事業者への融資業務など)をScheemeの活用によりカバーできることがわかった。当機能の開発により金融機関からは「フロントと本部・本店業務の連携が取れ、行内業務の効率化につながった」という意見が上がった。

Scheeme社は金融機関向けにサービスを展開する実現性を高めることができたと同時に、三谷産業グループがかねてより有していた課題の解決にも寄与することができた。Scheeme社は引き続き三谷産業グループ、そして地域金融機関との更なる連携を行っていく。

***Application Programming Interface ソフトウェアの機能を共有する仕組み。

 

あらゆる事業フェーズに対応した包括的ファイナンスプラットフォームへ

Scheeme社は将来、2つの事業展開を構想している。

1.中小企業向けサービスとの連携

事業者が成長するに応じて発生する様々な悩みに対応できるような、多様なソリューションを備えるビジネスプラットフォームの構築を目指し、中小企業向けサービスを展開する企業との連携を開始している。例えば、創業準備期にはクラウドファンディングや人材採用、創業直後にはインフラや決済システム、会計ソフト、成長期には給与ソフトやクラウドサービスといったサービスがScheeme上で自動レコメンドされるような機能を開発していく予定だ。

2.継続的な地域金融機関との連携

前述の通りLEAP OVERでの実証実験を通じて金融機関内における活用可能性について一定の成果が確認できた。今後は、金融機関に対してダイレクトにサービスを提供することも視野に入れ、地域金融機関のDXに価値を提供することを狙っていく。

 Scheeme株式会社

【 代 表 者 】 代表取締役社長 杉守一樹(Kazuki Sugimori)

【 所 在 地 】 東京都品川区西五反田7-24-5 ONEST西五反田スクエア3F

【  Vision  】 挑戦を讃え、支え続ける社会を創る。

【事業概要】 資金調達から資金繰りまでをまとめて管理できるクラウドサービス「Scheeme」の開発・運営

【    URL    】  https://scheeme.com/

 

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LEAP OVERとは?

今回紹介した「Scheeme株式会社」は、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が主催するアクセラレータープログラム「LEAP OVER」の第4期アルムナイです。

LEAP OVERは、

  • スタートアップ企業
  • パートナー企業(大企業・地域中核企業)
  • 協力自治体

の3者をつなぎ、社会課題をビジネスで解決するPoC型アクセラレータプログラムです。

詳細は、下記URLからご確認ください。
https://www.digitalsociety.murc.jp/leapover/accelerator/5.murc (第5期エントリー受付中!)

お問い合わせはこちら
leapover-accelerator@murc.jp